子守唄


心が泣いた夜に貴方の姿は無く
今もなお苦痛に打ちひしがれながらも願っているのよ
叶いはしなくとも口にしたいこの浅ましさ
感傷にすら浸れない幼心の残酷さ
私 貴方を見捨てるべきなのかしら

渇いた笑いに乗せた希望ははたして私のだったろうか
境界線を暈して進む我が道の荒々しさときたら貴方に似ている
香る優しさに振り向いてはみても
どこか虚ろな目を隠しきれる程大人ではない自分に気付いた

手を伸ばすには貴方の背は遠すぎて
手を差し伸べるのにはあなたの背は大きすぎて

溺れているのは私だ
終わりの無い暗闇に沈んで助けを求めている
すべてを矛盾させて生きようとしている

愚かにも歩み去ろうとした私の罪は許されますか

まだ声を出して誰かを呼べるか不安だけれど
貴方が私を見て笑むならそれでいいと
抱きしめられた胸の内でひっそりと涙した私はなんて哀れな道化役者
助けてと叫びたい衝動を責任で誤魔化した偽善者が見た真実は
儚く 美しかったというのに

本当は泣きたいのは貴方で笑いたいのは私なんだろう
現実と理想が交差して入れ替わった時なんて知るものか
いつの間にか歯車が狂ってすべてを巻き込んでは壊れ始めただけのこと
悪戯に不規則な運命に翻弄されて振り回されて
分かった真実といえば一つ
それさえも曖昧で不確かなものだけど
生きなければならないと呟いた


きっと直してあげるとは言わない



言えないんだ


070121