時代錯誤


幼い頃に聴いた歌
日本語さえ分からない歳だったから
その歌の意味も言葉の意味も
それが英語であることも全く分からなかった

それはどこか80年代 どこかメランコリック調
悲しげに響くソプラノが胸に痛い
それはどこか儚げ 今じゃ廃れた時代の流行
あたしの口笛の中でだけ生き返る

いつからか始めた白昼夢
頭ん中に王国を
夢と言葉と写真と愛を

赤い封筒に秘密を書いた紙を入れて
書き溜めた秘密を覗いては満足
これこそまさに秘密基地
お手軽な移動可能なプライベート

晴天の日 屋根の下
畳の上でひとりで遊んだ
トランプでピラミッドを建ててみた
そして一突き
崩れてゆく紙の墓を笑った

その世界はどこか単調
理不尽に殺されて守られる丹鳥
摂理の意味を原理と履き違えるな

低迷する感傷
停滞する関渉
やがて観賞魚に堕ちる人々を
主として獣の類と言われるものが支配するのか

この世は無常なんだと教科書で習ったね

幼い頃に聴いた歌
新しい映画に使われて生き返った
でもやっぱりどこか80年代 どこかメランコリック調
それでいて儚げ 現代に響く昔の流行
優しげなソプラノが泣きそうだ
時代は変わるのよと泣きそうだ


070622