必要とされる境目


不可抗力って言い訳をする
ポケットの中の季節に身を震わせて泣いてしまうこと
仕方ないんだって諦めるふりをする
叶わないことがこの世にはあるんだってこと
全部嘘で全部本当 擦り傷だけで痛い弱いあたし

空が明けるのが怖いのは 一日がリセットされて
同じ日々が繰り返されるのが苦しいからだ
人が目覚めていない時間だけが 言葉のない世界だけが
あたしを安穏で優しく包んでくれる
交わり合いはやはり窮屈で 心配は無駄に疲れるだけ
一人では生きてはいかれない生き物だというのに
地上は幾分不便で生きづらい
鳥の鳴き声が聴こえたらベッドの中に隠れていたいのに
太陽が照らす美しい水面下で泳ぎ輝きたいのだから
持って生まれた種は性質が悪い

藍色の憂鬱が見え隠れする
一日の始まりの仮面選びは戦慄が背を撫でてゆく
その上隙間風ばかりがこの頃は寒くて痛いから
やっぱり今日も頭痛がする

夜に嘆いて 朝に眠りにつく歳があって
人は両手で手を繋ぐことが怖いことを
知り始める金色の子供たちがいて
だから地平線を探すのだけれど 瞬きの間に恋は終わるから
謝罪もなく想いは死に近付き心臓に傷は増えてゆく
その頃の掌は 未来への感傷の心が刻まれている

長い長い道のりを何の意志もなく歩いてきて
見つけたものはまだ目を閉じたくなる疲れだけだけど
この先どれくらいの時間をかけてあたしは
すべてに 心を開いてゆくのだろう

迫り来るタイムリミットだけが不変な日々


091123